私の履歴書vol.3

自分探しのスペイン旅から帰った私は、子どもたちにピアノを教えることを再開し、新たなお仕事も始めました。
それは、あるクラブでピアノを弾くことです。
そこはホステスさんがたくさんいる大きなお店で、ママだけでも4人いました。
毎日たくさんのお客様が飲みに来られるのですが、お客様たちの声が大きく、ピアノの音は店内の声にかき消されるほど。
このコロナ禍では想像できないほど、街が賑やかだった頃です。
常連のお客さまは、自分の好きな曲をリクエストしてくださり、ご来店されたらリクエストされなくてもその曲を弾くようにしました。
そんな時、ひとりのお客様から、自分もピアノを弾きたいので教えてほしいと言われました。
男性がピアノを弾くとかっこいいとは思いますけれど、モテたいから?とその動機を考えながらも自宅に習いに来ることになり、レッスンが始まりました。
その男性は音符が読めないので、鍵盤で次の音を覚えていく方法を取りました。
何か弾きたい曲があったわけではないので、誰もが聴いたら口ずさむことができる「茶色の小瓶」(キリン一番しぼりのCMに使用されている曲)にしました。
初めて大人にピアノを教えたのですが、子どもと違ってよく喋るのですね。
それは、その男性がたまたまそういう性格だとは思うのですが、ピアノが苦手だったようで、練習中によく眠くなっていました(受験勉強のような感覚なのでしょうね)。
この大人の生徒が、その後結婚し主人になった人です。
ちなみに、主人がピアノを習おうとした理由ですが、苦手なことに挑戦したかったようです。
というのも、社員でプロのように歌が上手な人がいたのですが、その歌のように仕事は上手くいかず、その人は仕事が苦手なのかもしれないと思ったそうです。
だから、自分にとっての苦手な事をやり始めてみると、その人のことが解るかもしれない、とそのような考えからピアノをやってみようと思ったようです(モテたいのが理由ではありませんでした 笑)。

さて、ピアノのレッスンの方はというと、「茶色の小瓶」がそこそこ弾けるようになりました。
そうすると、私が弾いてあげた曲を次は弾きたいというではありませんか!
この厚かましさにビックリしましたけれど、弾きたい曲をマスターする方が楽しいものです。
子どものように音符が読めるとか、バイエルやハノンなど練習曲を弾きこんで上達とか、そのような基本以外の柔軟な教え方もよいではないかと。
子どもだと、将来の可能性があるため、教える方も責任重大です。
でも大人の場合は、趣味の範囲で楽しめばいいのですから・・そういう気楽な感じの中、
ピアノがだんだん好きになっていったようです。
私の方は、半年ほどお店で弾かせて頂いていましたが、諸事情もありこのお店だけで終わりました。
その後は、大阪音楽大学の先輩に声をかけて頂き、ロータリークラブの昼食例会で演奏するお仕事で、先輩の歌の伴奏をさせて頂きながら8年間務めさせて頂きました。
さて、結婚した旦那様は、人材派遣の会社を経営していました。
そう、ワークステーションです。
当時は「派遣会社」というものを、いまいち理解していませんでした。(なにせ会社に勤めたことがないので…)この時私は25歳でした。
ピアノがご縁となりましたが、なんと言っても年齢差があり、親の反対もあり・・だけど、この時も若さゆえの思いきりの良さを発揮させて結婚を選びました。
ただ、周囲の反対する声も少なくありませんでしたから、幸せになる努力を積み重ねようと心に誓いました。

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