当時はインターネットがない時代で、ガイドブック本が頼りです。
「地球の歩き方」という本をご存じでしょうか?旅行者に人気のこのガイドブックを元にスペイン旅の計画を立てました。
マドリードではプラド美術館、バルセロナではガウディのサグラダファミリア、グラナダではアルハンブラ宮殿、トレドでは古都探索という具合に2~3日ごとに移動する旅です。
またスペインでは、小規模な美術館が所々にありますので、ピカソ美術館等に足を運びました。
子どもたちが学校の課外授業などでスケッチしている姿が微笑ましく、日常的に本物を間近で閲覧できる環境が方々にあることは素晴らしいことだなと思いました。
それから、グラナダでは現地のスペイン人と仲良くなりました。ちょうど教会を出たところで出会ったホアキンというおじいさんは、なんとフラメンコギタリストをしていたそうです。演奏のために何度か来日し、福岡や大阪、東京などで公演したそうで、私たちは片言の日本語とスペイン語と、それから音楽用語(イタリア語)で会話しながらフラメンコを一緒に見に行ったり、夜のアルハンブラ宮殿を見に行ったり、とても親切にして頂きました。
グラナダでは、ホアキンと知り合えたことでガイドブックとは違う有意義な時間を過ごしました。旅程に戻り、次に足を運んだのは、スペイン最南端のアルヘシラスという街です。ここに到着して初めて知ったのが、なんとフェリーで約1時間すればモロッコ(アフリカ大陸)ということです。この頃の私は怖い物知らずで、無謀にもこんなチャンスはもう二度とないと迷うことなくフェリーに乗船し、とうとうタンジェールの港(イスラム圏)に足を延ばしてしまいました。
ここモロッコでは、女性が外出できないようで、髭を生やした男性は町中にはいるのですが、
東洋人を見かけることがないのか、私を見ると中国人と思うようで、「チーノ(中国人)」と呼びかけてきます。日本って小さくて認知されていない国なんだなぁと思いました。
また、モロッコに行く予定もなく来てしまったので、頼りにするガイドブックもありません。
港で低料金価格のガイドを雇い、バザール(市場)を見たり、ラクダに乗ったり、モロッコの大統領が住んでいる館だと教えられたり、ペルシャ絨毯の店に行ったり、1日の滞在を終え(少々悔しい事もあったのですが)、翌日にはジブラルタル海峡をフェリーで渡りスペインに戻りました。
せっかくの一人旅ですし、最後にパリに寄りました。3日ほど滞在し、オランジュリー美術館でモネの睡蓮を見て感動したことを懐かしく思い出します。この一人旅の時期は、秋だったこともあり、プラタナスの並木通りの美しさもパリを印象づける風景として記憶に残りました。
ただ、物価の安いスペインは、ホテル代も飲食代も問題なく感じたのが、いきなりパリに入ると、ちょっとした物でも高くて物価の格差に驚きました。
旅の最後にお金の心配をしつつパリが最終地となり、見聞を広める一人旅を終えました。
世界はとても広く、私には力も経験もない小さな存在だと思い知らされたわけですが、若い時はなんでも経験することが一番!なのだと。
あの旅の原動力は、「自分探し」だったのだと思います。
ガウディの作品の中でも特に有名なサグラダファミリアの完成は、100年かかると言われていましたが、沢山の方から寄付が集まり、2026年に完成するそうです。